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「アンドロイド・ジャパン」 -日本企業の命運を握るプラットフォーム-
木寺祥友・著 インプレスジャパン・刊
を……読んでみた。
丁度一年前刊行の単行本。
あと書きで「この1年で様変わり」と書かれているけど、「さらに1年では、ダダ変わり」といった印象。ITギョーカイはよくドッグイヤーとか良く言われるけど、そこからさらに加速しているよね。びっくりするほど。
本書の中では、どうも著者が絡んだらしい国産初のAndroid機、「Xperia X10」が紹介されているのだけれど、これ出たの2010年の夏モデルでしょ? たったの二年前のオハナシ。翌年3月、つまり2011年の春には、Android2.3にアップデート云々みたいな記事がネットには踊っている。古っ。
注:Xperria GXは、このX10からの代替えが大前提なんですね……基本的に。
著者としては、懸案の「SIMロック解除」も成り、XperiaX10を見れば分かるよう、国産メーカーのAndroidに対する対応力も凄い。携帯キャリアに仕様を決められて開発の自由度が狭かった時代は終焉し、さらにAndroid前提ならグローバルマーケットにも打って出られる。
これからは日本の時代だ、がんばろう~みたいなぁ。感じでブチアゲル。
また、今、iOSが正式にFacebbokと提携して、iOS6に組み込まれたって話題になっているけれど、このニュース、Androidばかり触れている人にとっては「何のこと言っているのか、良くわからな~い」はずなんだよね。
政治家も経営者も今や「共有」という単語をよく使うようになったと思うけれど、Androidの場合、各アプリが基本的にシームレスに共有可能なのが大前提にあって、かたやiOSはそうではない……。
注:Java特有の「インテント」という相互乗合機能。
これは、GoogleとAppleのビジネスモデルの違い? と思ったりするのだけれど、じつは、それもあるのだけれど、Objective-Cでアプリを作るのか、Javaでアプリを作るのかという言語そのものがもつ特性の違いに端を発しているというオハナシ。
ちなみに最初っからJavaではなく、AndroidがGoogleに買収された後、Google元CEOのエリック・シュミット氏が、じつはJava開発者でありつつ、ウェブやパワーのない端末に最適なソリューションということで、「アプリはJavaで」となったらしい。
たとえば…… iPhoneとAndroidって何が違うの?
と問われた場合、「いやー、iPhoneってたくさんケータイカバーが選べてさ」と答えるのは間違いではないのですがぁ、OSの基本構造だとか、アプリの開発言語の違いを知ったかぶりするには最適な一冊かな、と・笑。
で、この本が出て、丁度、Xperia acroだとか、Galaxy S2だとか、2011年夏モデルが登場した、と。
このあたりから日本ガラスマが俄然、盛り上がる……というのが著者の予想だったわけですがぁ。
ギンギンに加速してゆくGoogleのAndroid開発に国産勢はチョー振り回されているのが現状でしょう。
また、今年の夏モデル眺めても分かるよう「大前提としてガラスマ機能フル搭載」みたいなドコモ様による“仕様の縛り”は、逆にキツくなっていると感じられますな。Fericaにしても、ワンセグにしても、国外の人はいらないわけですよねぇ。
そもそも最新のAndroidとか、クワルコムのチップセットとか咀嚼できていない段階で、小さく薄く軽くしろって言いつつ、ガラスマ機能フル搭載で、ますます健やかなる商品化の難易度を高めさせているという次第。(きっと)今を頑張ればきっと未来はバラ色です。富士通さん、NECさん、シャープさん、頑張ってください。マジで。
また著者は「今後の国内キャリアは、土管屋にもなれない」と言い放っている。
「土管屋化を防ぐ」とか「ダムパイプ屋にはならない」とか、キャリアの社長がカンファレンスで平気で口にしている。
それどころか著者は、現在のキャリアは、土管屋にもなれない、とな。
なぜか?
LTEって世界統一規格で、3Gみたいく規格が複数あるわけではない。ので、基地局に関しては総務省が血税をブチ込んで、設営していって、各キャリアには入札で使用料を払わせる計画があるらしい。著者曰く……。
真偽は知らない。確かめていない。が、“上がり”の段階では“真の親玉”がいいとこ総取りってのは、よくある話であって、ありえないオハナシではないな、と。不自然なくらい某キャリアのLTE展開が遅いって本当の理由はソレ? 真偽は分かりませんが。
また著者は、iOSのアプリ開発は、メモリ管理の大変なObjective-Cでありつつ、iOSがマルチタスクになったり、処理要件が増大するRetinaディスプレイなどを新搭載しつつ、しかも開発ツールも有料で……みたいなことを書いている。つまりやっぱり、Javaだよね~、みたいな。
注:OS-Xとかのアプリも同じだけれど、PCの場合はスマホと比較にならぬほど、メモリがリッチ、と。
でも現在のゲンジツは、まずはiPhoneやiPadで名を成し、相応の利益も獲得できたアプリベンダーが、実力や認知度を蓄えた上で、勇躍Androidに手を出す、という流れになっている。
結局、Androidの場合は、端末のバリエーションが膨大すぎて、しかもAndroidそのものが猛烈スピードで進化し続け、それにいちいち最適化しなくてはないない……という要素があって、そっちのほうが、基本的には零細企業なアプリベンダー各社にはハードルが高いということだろうと思います。
今はね。
さらに、面白いのは、この本出した直後から、著者の企業ブログとか、ツイッターとか、ストップしちゃっているってこなんですよね。ピタっと。何があったんでしょ~。
そんなこんなで、ちょっと目を通してみても面白いのではないでしょ~か。
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