2012年10月2日火曜日

「イーモバ買収劇」について


イー・アクセス、そもそも身売りは内定済みだったらしい。

というのも上位三社の実質的な“低価格競争”によって客単価(ARPU)が伸びない。設備投資のためのキャッシュ・フローが常に不足気味みたいな閉塞状況に陥っていたらしい。

それは一万円台まで低迷した株価が物語っていた、と。

なので、じつはKDDIも打診はずっとしていたらしいのだけれど、買収額で千本社長との折り合いがつかない。昨日の会見でも千本会長は、「ちょっと前までウチの株価は七万円くらいしてたんだ」とか言っていたのが“本音”でしょう。

でも時価ってのは当然でかい。企業として“相手の言い値”で素直に買うってわけにもいかない。

こういうシチュエーションで、やはり自社株も大量に保有しつつ、権力も絶大な「創業社長」の立場は強い。

「買いましょう」。そもそもムチャぶりなんだし・笑。

会見を眺めていて「テザリングやりましょう」の時から具体的に動いた、というのは本当なんじゃないかな、と感じられた。つまり10日くらい前のこと。

孫社長のほうが有名だけれど、千本社長も超名物社長ですからねぇ。

特に電電公社を母体とする“大手”に対する感情は、半端ないでしょう。

で、孫正義が頭下げてきた、と。金も出す、と。

まさに“売りどき”がやってきた、と。

この調子だと絶対“その時”がやってくるから、“待ち”だったんぢゃないかな。

楽天に売っても“通信ギョーカイに対するインパクト”って大したことないもんね。

やっぱり“孫待ち”だった気がする。ただし、イー・アクセスの役員レベルの秘めた共有概念みたいな……。ハイスピードで議決できたのも、千本さんが前々から「未来」を語っていて、役員とかを納得させていたからなんぢゃないかな、と思ったり。

なので、まあイー・アクセスの千本社長は「とっとと高値で売りぬけたかった」と。

で、孫社長を決意させたのは、やっぱり「テザリング」だったといふ。

ただし、もっと具体的なのがあると思う。

それは「MNP」。

au田中社長も言っていたけど、「ドコモより、SBMからの転入が多い」って。

転出が想定外で慌てたというか、ビビったのでは、と。

ただこれ、冷静に考えると仕方ないのかも……とは思う。

まず「iPhone4」から「iPhone4S」への変化はそれほどではなかった。

で、auのiPhone4Sユーザーは、当然だけれど、まだ1年未満であって“2年縛り”が効いている。

でもって、通信プランの具体的料金内容とか明確でないうちに予約入れるってのは、フツーの消費行動ではないですよね? 

で、当然、iPhoneユーザーの絶対数はSBMのほうが多い。で、iPhoneユーザーってハナからAndroidに興味がない人も少なくない。でもって、既に手元にあるiPhoneは“縛り”からは開放されている。

iPhone5が早く欲しい。とにかく欲しい。だってもともとApple好き。

で、下手するとauのほうが通信品質いいんぢゃないか? だったらとっととMNPして、「金銭的にも絶対にオトク」なauへと移る……という消費行動。

もちろん熱烈な孫正義ファンがいることは分かっているけれど、多数派はiPhoneだけが好きレベルでしょう。

もともとSBMが不利な状況じゃないっすか?

しかもiOS6の“地図騒ぎ”は予想されていたことで、比較的保守的なドコモとauのユーザーは、ますます“ヒク”状況だったと思うしなぁ。欲しいけど「ちょっとだけ様子みよう」ってフツーなりますよね、フツー。

結局「テザリングの有無」がユーザーの決定打だったのではなかったのではないか、と。

話題にはなりましたけどね、

で、きっとこの「テザリングの有無」は、「これから」に効いてくることでしょう。

ゆえに、抜本的な解決策に超速攻で動いた、と。

ただし、昨日のエントリーにも書きましたけど、「じゃあ、SBMのiPhone5は、1.7GHzにも速攻で対応」するってことに果たしてなるのかな?と。

典型的な、そうは問屋が卸さない……ではないか、と。

中期的には間違いなく「イー・アクセス買収」はアリなのですが、果たしてその買収劇がどれだけiPhone5に転嫁されるのだろう……みたいな印象でございます。

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